誰でも皆大人になるしかない。

今までずっと頼りにしてきた相手だった。親友だと思っていた。
中学の間、一番相談した相手だった。
自分の弱い醜い部分を、包み隠さず話してきた。

ずっと好きだったと言われた。

自分が悩んだ恋についても相談した相手だった。
残酷なことをしていたと初めて分かった。
一度抱きしめられたことがある。
受験前でナーバスなのだろうと思っていたが、今思えば、どんな思いをさせてきてしまったのだろう。
抱きしめ返さなかったのは得策だったのだろうか。
卒業が怖いと言っていた。忘れられるのは悲しいと。
少なくとも私は忘れないと言った。親友だからだ。
それについても、一番怖かったのは私に忘れられることだったと。
馬鹿だな、と正直思った。
私なんかを選んで、もっと可愛い女の子を選ばなかったのは間違いなく馬鹿だ。
趣味が悪いと思った。
全部曝け出してくれたから好きだったと言われた。
今は？と問うと、分からない、と言われた。
自惚れか分からないけど、多分思ってくれてるのだろうと思った。

中二の頃から、長い間趣味の悪い恋をしていたその親友とは、自然にやり取りが出来ている。
だけど、もう依存は出来ない。
少なくとも、相談はもうやめようと思っている。
大切なひとは無くさなかったが、善き相談相手、それは無くしてしまった。
距離が生まれるのは少し悲しい、だけど多分こうやって大人になるしか無いから。
いつかまた、幸せな相談を出来るくらい大人になったら、私はきっとまた君に正面から向き合える気がするんだ。

今まで守ってくれてありがとう、

プラス、ほんの少しの、小さなさよなら。